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【東京商工リサーチより】 倒産企業の特徴

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こんにちは、加藤です。
 
今回は、小学校の頃丸暗記させられた、平家物語の冒頭にあった『盛者必衰』を思い出させてくれる「倒産」についてです。
 
4月に東京商工リサーチから公開されました「2015年『倒産企業の財務データ分析』調査」から、倒産企業の最近のトレンド?を(ほぼそのまま)お伝えいたします。
 
倒産する企業には一定の特徴があるということをこの記事から読み取っていただき、自社の点検をするきっかけにしていただければ幸いです。 

倒産企業の46%が赤字企業!

2015年の倒産企業は46%が赤字企業で、大手企業の業績改善が目立つ中、不振から抜けだせない企業が多かったようです。逆にいうと、倒産企業の過半数は黒字倒産ということになります。
Cash is Kingです。
ちなみに、生存企業も21%が赤字だったようですが、その比率は年々低下しているようです。
 

倒産企業は資産に占める借金の比率が高い

倒産企業の、有利子負債構成率、つまり総資産に対する借入金、社債などの比率は64.6%だそうです。調達した資金の6~7割が借金で占められているということです。
 
1,2年前の同比率は50%台半ばであったのに対し、2015年に入り急上昇したようです。一方で生存企業は借入の依存度が低下しています。 
  
金利も下がり、マネーが溢れ、政策の後押しもあり比較的借入がしやすい環境が続いていますが、本当に必要な資金なのか、事前に可能な限りリスクとリターンの計算が求められます。
 
「ご利用は計画的に」です。
 

自己資本比率からみる倒産企業の財務基盤の脆弱性

 上記に関連して、財務基盤の安定性を示す尺度である自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合)は、倒産企業の平均が▲5.6%、生存企業の自己資本比率38.8%ということです。
 
また生存企業で自己資本比率30%以上が全体の半数を占めたのに対し、倒産企業では全体の10%しかありませんでした。
 
一般的に自己資本比率は50%くらいを目指すべきといわれていますので、資金調達をする際は、資金の使途をしっかり見直す時間をとる必要があるかと思います。 
 
仮に大きく借入しているにも関わらず節税意識を意識してムダなモノ買っていたとしたら、倒産への片道切符を買ったも同然です。
 

倒産企業の経常利益率

 経営をしていれば誰でも気になる経常(ケイツネ)。これを売上高に占める割合で示したものが売上高経常利益率です。倒産企業の平均は▲7.6%であったのに対し、生存企業の平均は5.5%でした。
 
業種などにもよりますが、最低でも3~6%は目安としたいところです。
 
倒産要因は、多額の借入による金利負担の増加、受注単価の引き下げなどだそうです。やはり売上あればこそ。単価を上げ、継続的に得るためにどうするかを考え抜かないと、生き残るのは難しい時代になってきました。
 
「変動損益計算書」をご存知でしょうか?一般に会計で使われる損益計算書に近いのですが、費用を、売上の増減に影響される「変動費」と売上に関わらずかかってくる「固定費」に分けて自社の損益を独自に管理する表です。
 
これを用いて利益計算すると一目瞭然なのですが、販売単価を数%下げただけで、同じ利益を得るためには何十%も売上を伸ばさなければいけない、ということがわかります。
 
安易な値下げで販売数量を伸ばす戦略より、差別化して価値をつくり単価を維持・向上させていくほうがより生き残りの可能性は高まります。
 

目安に全然行き届かない倒産企業の当座比率 

 最後に、企業の短期支払い能力を示す当座比率です。短期間(1年以内)に支払わなければならない負債に対して、1年以内に現金化される資産(あるいは現金)でどれくらい賄うことができるか、という指標です。
 
当座資産÷流動負債で計算します。100%以上が望ましいとされていますが、倒産企業の平均のそれは49.3%でした。資金が回っていません。Cashflow is Queenです。
 
しかも2年前は65.5%でしたので、大きく悪化していることが見受けられます。生存企業は78.9%です。こちらも決して楽観視することはできません。
 
 いかがでしたでしょうか。
 
普段から数字に敏感な社長は常に自社の状況を把握しており、事前対応できているかもしれませんが、感覚のみ、ドンブリ、その場しのぎで経営判断をすると、本記事で見られたような倒産の可能性が高まります。
 
逆にいうと、経営・財務管理や、少なくとも現状と未来が数値で意識されていたら、危機にも早く気づくことができます。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。 
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