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株式上場とは? そのメリット・デメリットと本質(2/2)

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こんにちは! 加藤です。昨年に「株式上場とは?そのメリット・デメリットと本質(1/2)」を掲載して以来、だいぶ時間が経ってしまいました。。
 
前回は上場のメリット・デメリットを中心にお伝えしましたが、今回は上場の本質に係る私見をお伝えできればと思います。

企業は社会の公器?

経営の神様といわれる、松下幸之助はこんな言葉を残しています。
 
「企業は社会の公器である」
 
昨年は、大手総合電機メーカーや建材会社の不正がニュースになり、大きな話題を呼びました。
 
上場している会社ですら内部統制が効かず、社会の信用が失われることがありますが、やはり理念に沿った行動をしているならば、このようなことがなく、「顧客に正当な価値を与えて、正当な対価を得られる」事業活動を行っていると思います。
 
上場が目的になっている会社をよく聞きます。
形式上「上場」しただけで、ステータスが急に上がると考える社長さまも少なくありません。
 
従業員にも伝わらず、社長の一人相撲ということがよくあります。上場している会社で皆様がご存知の会社はどれくらいあるでしょうか?
 
直接消費者にモノ・サービスを提供していない会社でも、よく知られている会社はあります。上場していなくても、最近の言葉で言えば「ホワイト企業」と言われ認知されている会社もあります。
 
いわゆるB to Cの会社でも、知られていなかったり、よくない評判がたっている会社もあります。

経営理念と行動の一致は応援団をつくる

企業の追求するべき「理念」がしっかりしていれば、それが会社に関わる全ての人々に伝わります。理念浸透の仕組みが整っていれば、社会との関わりは当然に良好に保たれている、つまり理念浸透のために企業の内部統制やコンプライアンス、人を大事にする姿勢の可視化、あらゆる財務情報の開示は自然と行われているでしょう。
 
上場において主眼が置かれるのはまず投資家です。リスクマネーを投じてくれる投資家に対して、財務の健全性や事業の成長性を裏付ける情報開示体制の整備は徹底して行われます。
 
しかし、それだけでなく、理念に沿って、従業員・地域コミュニティ・事業のコミュニティなどを大切にしていることが投資家に周知できれば、経済的メリットの追求だけでなく、社会に必要とされると認識され、第一の応援団になってくれるでしょう。これは長期保有という形で現れます。
 
株主総会などにおいても経営陣の交代や批判など「モノ言う株主」はさらにサービスや製品をよくする、「フィードバックをくれる株主」に変わってくれるでしょう。
 
さらに、消費者においても、あらゆる良い面・悪い面を公にし、適切な対応をすることで、信頼感が醸成されるはずです。
これは「応援投票」としてのサービス・商品の購入というカタチで現れます。
 
従業員の家族も、取引先も、金融機関も、地域も同様です。その企業のよい理念が形式的にも実質的にも伝播していれば、金銭でなくとも、あらゆるカタチでその企業の応援団として返って来ます。
 

上場の本質

ここで僕はこう考えます。

上場の本質とは、理念の追求をする上で、形式的にも実質的にも、本当の意味で社会の公器たる資格を得るためのステップであると。
 
関わるすべての人びとにとって、「いい会社」であることを公に約束しますよ!
言い換えれば、経営理念の実現を公にコミットしますよ!と宣言することである
ということです。
 
上場で調達した資金は、さらに社会に必要とされるサービスを提供するための応援資金。そこにかかる金銭的・事務的コストも広く「いい会社」として認められるための投資として捉えられるといいかもしれません。
 
極論ですが、しっかりした理念に沿って事業を行っている、従業員と社会に事業活動を通じて関わる方々の幸福を願って活動していれば、全ての中小企業が上場する意義があると考えています。
 
もちろん、世の中に良いことをしていながら、上場はあえてしない、という考え方をする会社もあります。そのような会社はすでに名実ともに、特に特定のエリアにおいて社会の公器となっているのですが、よりコミットメントを強く、より多くのインパクトを与えると希望されているのであれば、選択肢の一つに加えることもできると思います。
 
上場はあくまでプロセスの一部です。「公」になる資格を得て、それを経営理念に沿っていかに実現していくかが重要であると考えます。
 
以上、長文にて失礼いたしました。お読みいただきありがとうございます。
 
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